7月9日(水)に「ドラゴンボール」シリーズで孫悟空・孫悟飯・孫悟天の声を担当する言わずと知れた声優界のスーパーレジェンド・野沢雅子が登壇しての舞台挨拶イベントを開催。数々の舞台挨拶の思い出などを振り返りながら、劇場や東映会館についても言及。また、丸の内TOEIでの最後の“かめはめ波”を披露し大盛り上がりのイベントとなりました!

【オフィシャルレポート】
笑顔で登壇を心待ちにする野沢の姿が舞台袖から垣間見えるなか、MCの呼びかけを受け万雷の拍手と声援の中で登壇。
まず挨拶として開口するや否や「おっす、おら悟空!みんなよろしくな!」「ぼく、悟飯です。みなさんとご一緒できて嬉しいです」「ボクもうれしいよ~!ンフフッ!」と、演じた孫悟空、孫悟飯、孫悟天と3役の声を瞬時に切り替えながら挨拶。会場からは拍手とともに「うおぉ!!」「凄い…」といったファンたちの感嘆が漏れ聞こえ、舞台挨拶がスタート。

野沢は、ファン感激の大サービスを皮切りに、普段のアフレコ収録の裏側を語った。「大体は、別録りをするんですよ。悟空を皆さんと録って…それで悟飯を次に一人で録って…そしてまたもう一回悟天を録るっていうのが普通なんですけど、あたしは一緒に録ってもらっちゃいます」と茶目っ気たっぷりに話し始め、「(本番は)気持ちが乗っているじゃないですか、だから別に一人で録るよりは『悟飯、どっか行くか?(悟空の声)』『ぼくですか?行きます!(悟飯の声)』『ボクもいく~!(悟天の声)』と、そんな感じで」と別録りしない理由を明かした。
続いて、これまでに幾度となく来場した丸の内TOEIそして東映本社での思い出について口にした。
2022年以来の登壇となった丸の内TOEIについて野沢は「ここは私の中では、割と駆け巡る“走りの劇場”。ここでご挨拶して、次のところ(映画館)に走っていくわけですよ。だからここが一番最初のスタート地点」だと言う。これまでの作品での舞台挨拶の思い出として、当時は移動車などがあったなかでも「すっごい走りましたよ!きっとスタッフさんが走らせたかったんじゃないですか?」と走るジェスチャーを交えながら当時を思い返し、銀座中を自身の足で駆け巡った元気みなぎるエピソードで会場を驚かせた。
そして観客で埋め尽くされた客席を眺める野沢は、観客が掲げるお手製のうちわや「悟空」と書かれたネームボードに手を振りながら「うわぁ…すごいな!ありがとうございます!」と感慨深げ。しかし、2階席を見るや否や急激な方向転換で意外なトークを展開!「ちょっと高すぎません?」と、幾度となく登壇してきたはずの丸の内TOEIへの強烈なツッコミに続いて「でもどうして壊すんですか?誰が決めたんですか?」と逆質問。MCからフォローに対しても、「でもそういう“さよなら”じゃないです!(閉館に対し)おかしいですよ!こんないい劇場を!」と愛のある不満が爆発!さらに「場所もいいし『ちょっと銀座に行ってみよっか』なんて行った時に歩きながら『あ、映画やってる!この映画観たかったから観てから行こうか!』なんて良いじゃないですか~。おかしいですよ~。みなさんもそう思いますよね?」と会場中を煽ると、閉館を惜しむファンからも想いのこもった拍手が沸き起こった。さらに、「知らない人とも(この東映会館で)お知り合いになれるから、それはそれで好きなんですよ。」と新たな出会いがある素敵な場所としての丸の内TOEIの魅力を明かした。名残惜しいのか、閉館を惜しむ余り目の前の記者たちに対して記事を通じて「(閉館を)辞めさせてよ」と訴えかける一幕も。

続いて話題は、「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトで実施中のクラウドファンディングの話に。
MCからの説明に間髪入れず野沢も申し込んだことを告白!「私、申し込みました!このスクリーンもポーチになるんですよ!(※1)良いですよ!」と推しの返礼品を紹介。さらに「絶対に申し込まなければ!だって、ポーチになるんですよ!それ見たら懐かしくなるから」と、『ドラゴンボール』を観てきたスクリーンや劇場内のものが記念の返礼品となるこの企画にも太鼓判を押し絶賛するも…やはり「壊すのおかしいですよ!誰が考えたんですか?(発案者に)お会いしたいですよ!」と再び嘆いた。
さらにMCから劇中ではいろいろと壊してしまう悟空になぞらえたツッコミが入ると、「壊すつもりは無くてもちょっと壊しちゃうの。ちょっとね、ぶつかったぐらいでもね、壊れちゃうの何故か。だけど、ここは壊しちゃダメ!絶対に!ここは映画を観るところですから。新作をやるなら絶対にここで観てもらいたいです」と、閉館を惜しみながらも丸の内TOEI愛を力説した。
※1:実際は、スクリーンからは「カードケース」にアップサイクルされます。「ポーチ(=巾着)」は緞帳からアップサイクルされる返礼品となります。
そして、今回上映された映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』やシリーズの話に。
初めてピッコロの存在を耳にした時のことについて、野沢は「ピッコロさんってどういう人?と最初は思っていたんですけど、すっごく良くなっちゃって。いまは大好き!だって、悟飯にとってピッコロは“なくてはならない方”ですから」とピッコロと悟飯の関係性も交えて思いを語った。
さらにピッコロ演じる古川登志夫とのエピソードでは、家庭菜園での話を語った。「実はね、“に・わ!”みたいな感じのちっさい家庭菜園でね、そこにゴーヤやナス、トマトを植えてて。そこで沢山できたんでスタジオに持って行ったんです。久々に会うんで『食べない?』とみんなに訊くと『いや、買えますから』と。そりゃ当たり前ですよね、ただ『何なのよ』と思ってたら古川君が『僕もらっていいですか?』って。『ええ!もらってくれるの?』となって(野菜を)あげたら、あの方はちゃんと作ってお料理にしたのを写真に撮ってくれて最高でした!」と古川さんとの心温まる素敵なエピソードに会場から拍手に包まれた。
さらに神谷浩史と宮野真守演じたガンマ1号・ガンマ2号にも言及。
野沢は、「素晴らしいです。今の若い方はお上手ですね、本当に良いです。とっても良かった」と絶賛。
若い声優陣の姿と自身を重ねて、「画に(声を)あてるから“アテレコ”って言うんですけど、あたしたちの時代っていうのは初めてで、そんなことは自分の言葉だけでしょ。自分のお芝居したものに対してじゃないですか。だから人の物に対して(声を)入れたことって無かったんですよね。それを初めてやり始めた時に、『じゃあ、この人だったらこんな声出すんだろうな』って最初は自分なりにやってみたんです。そしたら『こんな感じでいいんですか?自分の思うようにやっていいんですか?』と訊いたり。だけど、思うとおりにやってくださいって言ったって、合ってないかもしれないじゃないですか、ただこうして欲しいとかあるんだろうけどみんな『どうなんだろう』というところからスタートしてたもんで、でもそれが良かったような気がする」と声優を始めた頃を思い出すように感慨深く語った。
続いて、1つ前の作品である映画『ドラゴンボール超 ブロリー』でブロリー役を演じた島田敏とのエピソードに。
MCから当時島田が本編のバトルシーンの激しさを語った内容に触れ、台本の読み方を訊くと「あたしは、一回目の時に合わすんですよ。大体ここで言うかと頭に入れるわけですよ。そしたら、台本はあんまり追いません。画を見て『ウワァ!!ブワァァ!!』ってね。(バトルシーンは)すごいスピードだから、台本は読んでられないんですよ。」と実際のアフレコ時の激しさを語った。
当時島田がアフレコ後にスタジオで倒れていたことがあった際に、野沢から「あれ、どうした敏?大丈夫?」と会話したエピソードを思い出す。そして野沢の驚異的な体力が明らかになったことで、体調管理・トレーニングにまで話が及ぶと「トレーニングはね、わたし呑気だしダメなんですよ。」と話すも「本当はねしないといけないんですよ、役者ですから。ただわたしがサボってるんです。ただお風呂でね、ガラガラペッて。これでおしまい!」とまさかの調整法を暴露。会場は爆笑に包まれた。
そこから「かめはめ波」の声について問われると野沢は「たまにスタッフから、かめはめ波撃ってみませんか?」と衝撃の提案があることも明かした。さらに田中真弓からのタレコミで「かめはめ波」が寝起きで打てることも告白。実演を交えた話に、これには会場からも驚きとともに爆笑が巻き起こった。
そして演じているうえで気を付けていることを問われると野沢は、「多分あると思う、ただ『これに気を付けよう!』とは思ったことは無い。絶対に(自然に)気を付けているはず」と力強く話した。
また、印象的なシーンについて野沢は、「毎回あるから…ただ友達のクリリンを呼ぶのが“友達を呼ぶよう”でけっこう好きですね」と話した。
そして、最後にMCから“丸の内TOEIでの最後の「かめはめ波」”をお願いされると、会場から再び盛大な拍手が。
そこにMCから丸の内TOEIをぶっ壊しちゃうのではと心配の言葉がかけられると、野沢は「壊さない。『かめはめ波~』って撃った時に、(かめはめ波が)抜けるところを探すんで」と閉館前に丸の内TOEIは壊さないことを確約。
そして一礼をしたのち、満を持して「いくぞ!か~め~は~め~波~!!」と一撃!!すると、劇場内から割れんばかりの拍手が起こった。

さらにその後のフォトセッションでも、かめはめ波のポーズを披露。撮影中には、MCから「さよならに納得されていないですが」とツッコミもあり、会場からも笑いの声が溢れた。
そして最後の挨拶を求められた野沢からは、「全然、納得していません!」と閉館することに対して改めて一言放ち、会場を笑わせる。
さらに観客に対して、「劇場に来てくださって、とっても嬉しいです。一目でもね最後にこう劇場に…だけど、納得はしていませんよ!やめましょうね、納得するのはね。(降壇後の映画本編も)是非楽しめると思いますんで、ありがとうございました!」とこれまで多くの回数登壇した劇場への愛たっぷりに締めくくった。 終始、野沢の人柄と奇想天外なエピソードの数々に、爆笑の絶えない舞台挨拶は終了した。
