さよなら 丸の内 TOEI

【舞台挨拶オフィシャルレポート】役所広司&白石和彌監督登壇!「続編ではヤクザ役で復活を!」次回作への野望語る

この度5月18日(日)には『孤狼の血』(2018)より主演の役所広司さんと、監督を務めた白石和彌が登壇し、舞台挨拶を開催いたしました!

【オフィシャルレポート】

当日は、本編鑑賞直後の観客の熱気冷めやらぬ中、役所広司と白石監督が大きな拍手に迎えられ登壇。二人は、当時オール広島ロケで行われた撮影を振り返りつつ、劇中のシーンや名セリフについて、MCからの際どい質問にも答えました。

割れんばかりの拍手の中、メインテーマに乗せて登場する役所広司と白石監督の二人。冒頭の挨拶で役所は、「8年経ってもこんなにたくさんのお客さんに見ていただいて映画も喜んでいると思います」と語り、白石監督は「おそらく今日が丸の内TOEIで僕が舞台挨拶させていただく最後の日。ちょっと寂しい気持ちもあります」と、丸の内TOEIでの久々の上映と舞台挨拶について感慨深く語った。

まず話題に挙がったのは、役所が演じる大上章吾のキャラクターについて。役作りについては「舞い降りてきた天使、のつもりで演じようと思っていましたね。そういう風に見えるといいなあと思って」と意外な答えで会場を驚かせた。また台本が出来上がってから撮影中までずっとトレーニングしていた呉弁については「まだ抜けない。うちの事務所に呉出身の俳優がいて、彼と話す時には呉弁が出てしまう」と語った。

MCからの「大上に関する監督からの指示で、やり過ぎと感じたことは?」との質問には、「衣装合わせの時に感じました。監督が選ぶ衣装が、画にかいたような衣装で。『ネックレスにサングラスか』と思いましたが、その衣装を着て呉の街を歩くと、そういう雰囲気になるんですよね」と心情を明かした。

続いて劇中の印象的なシーンの話題に。まずは大上が音尾琢真演じる暴力団の構成員・吉田滋の局部から真珠を取り出すシーン。原作にはないこのシーンが生まれた経緯について白石は「脚本の池上(純哉)さんのアイデア。撮影しても絶対に使えないと全員に反対されましたが『あそこまで大きくしてわかんなくしちゃえば大丈夫なんじゃないか』と。大成功でした」と語り、会場は笑いの渦に。実際に撮影で使用された特殊造形について役所は「本当に緻密な造形で。こうやって真珠が入ってんだと知りました」と茶目っ気たっぷりに語った。

石橋蓮司演じる五十子(正平)会長の印象的な決め台詞(びっくり どっきり クリXXX)についても質問に監督は、「これも原作にはなく、脚本の池上さんのアイデア。劇中で大上も言っていますが、台本にはなく、役所さんが面白がって言ってくれたんですよ」と明かした。「撮影当時、流行り言葉になっていたんですか?」という質問にはすかさず「いや、さすがになってないです」と即答し、会場は大笑い。

続いては豚小屋のシーンの話題に。豚小屋でのシーンの思い出について役所は「豚の糞を喰わされるところですよね。小道具さんが『チョコレート味にしますか?メープルシロップ味にしますか?』と聞いてくれて、『メープルシロップ味にしてください』とお願いしました」という秘蔵エピソードを語り、会場はまたもや大笑い。続けて監督も「最後にはみんなでトンネルを作って(ご協力いただいた豚たちを)送り出しました」と語り、会場を沸かせた。

次に話題に上がったのは、作品の終盤、松坂桃李演じる日岡が大上と「クラブ梨子」で対話する長回しのシーン。現場で突然監督がワンカットでの撮影を提案したことについて役所は「冗談を言っているのかと思いました」と当時を振り返る。続けて監督が「カットを分けて普通に(撮影も)できるんですが、そういうシーンでいいのかと思ってしまったんですよ。この作品は、思いとか仕事とかを次の世代に継承していく話でもあるから。役所さんと桃李くんの芝居を見ていた時に、きっと役所さんの芝居をみて桃李くんは継承するんだろうなと思っちゃって、ワンカットでやりたいですと言いました」とこのシーンに対する熱い思いを語った。続けて「そうしたら役所さんからは『監督、(そんなに早く終わりたいなんて)この後飲みに行く約束でもあるんですか』と言われてしまいましたが」とほほえましいエピソードを明かした。

松坂桃李との共演について役所は、「あの好青年が、(続編の)『LEVEL2』ではあんな風になっちゃって。(『孤狼の血』前半の松坂演じる日岡は)本当に好青年で、松坂さんにぴったり(の役)ですよね」とその印象を語った。

そして話題は、すでに製作が決定している続編のことに及ぶ。「作業は進んでいますか?」との質問に監督は「現状そんなに進んでないんですけど。東映さんの作品では、(『仁義なき戦い』シリーズのように)一度死んだ方も続編で戻ってくるというお家芸もありますし、役所さんにヤクザの大物で出てもらうという野望もあります」と明かした。それに対して役所は「びっくりですね」と五十子会長の台詞を思わせる返答で笑わせた。MCから「(役所の復活を)観たいですか?」との問いかけに、観客は大きな拍手で答えた。

最後に、7月27日で閉館する丸の内TOEIについて聞かれると監督は、「歴史ある映画館で僕もたくさんの思い出があるんですが、その最後に、役所さんと一緒に(舞台挨拶に)立てて誇りに思います。丸の内TOEIありがとう。映画を観てくださったお客さんも本当にありがとうございます。丸の内TOEIはなくなりますが、東映はまだ映画を作っていくし、僕も映画を作っていくし、役所さんとも一緒に映画を作りたいですし、映画作りは続けていきますので応援よろしくお願いします」と語り、役所も「閉館まであと70日、寂しいですね。僕が初めてこの舞台に立たせてもらったのはたぶん『オーロラの下で』という作品で、(故・東映㈱名誉会長の)岡田茂さんがいて、(故・東映㈱グループ会長の)岡田裕介さんがいて、僕の映画の青春が詰まった映画館でした。こういう街の映画館がなくなっていくのは寂しいですね。これからの俳優やスタッフでも、丸の内TOEIのことを知っている映画人が減っていくのもこれまた寂しい。今日こうやって、白石監督と作った東映らしい映画で、『さよなら 丸の内TOEI』で舞台挨拶が出来て、とても幸せを感じています」と語り、舞台挨拶を締めくくった。

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